金融教育で人生の選択肢を広げる――ABCash Technologiesが挑む「行動変容」の価値
株式会社ABCash Technologies 代表取締役社長 辻 侑吾氏
「お金の不安に終止符を打つ。」というミッションのもと、中立的な金融教育サービスを展開する株式会社ABCash Technologies。知識の提供にとどまらず、実際の行動変容まで伴走する独自のアプローチで、金融リテラシー向上に取り組んでいます。本記事では、代表取締役社長の辻侑吾氏に、事業の特徴や創業の背景、経営における価値観、今後の展望について伺いました。
行動変容にこだわる金融教育サービス
――現在の事業内容と特徴について教えてください。
弊社では、中立的な金融教育を提供するサービスを展開しています。特徴としては、マンツーマン形式で提供している点にあります。一般的なセミナーや動画視聴型の学習ではなく、3ヶ月間伴走する形で支援を行っています。単に知識を身につけるだけではなく、実際に行動を変え、習慣化し、最終的には資産形成ができる状態を目指す点が大きな特徴です。
――他社にはない強みはどのような点でしょうか。
金融リテラシーを高めるサービスは多く存在しますが、その多くは知識提供にとどまっています。一方で弊社は「行動変容」にフォーカスしています。サービスを受けた方が、実際にお金が増えていく感覚や、貯蓄ができるようになる実感を得られることに価値があります。この“体験”まで提供できる点が強みだと考えています。
――会社の理念やビジョンについて教えてください。
創業時から掲げているミッションは「お金の不安に終止符を打つ。」です。お金が理由で人生の選択肢が狭まる人を一人でも減らしたいという想いが込められています。現在は主に大人向けのサービスを展開していますが、将来的には金融教育を義務教育や学校教育の中に取り入れていきたいと考えています。社会に出たタイミングでお金に関する判断を迫られる場面は多く、その時に適切な選択ができるよう、学生のうちから金融リテラシーを身につけられる環境が必要だと感じています。
原体験から生まれた起業への想い
――起業に至った経緯を教えてください。
共同創業者とともに会社を立ち上げましたが、二人とも大学生の頃に似た経験をしています。父親が病気で命の危機に直面し、「もし家族に何かあったら、お金が理由で人生の選択肢が制限されてしまう」という状況を実感しました。この経験から、金融リテラシーを高めることで人生の選択肢を守れる社会をつくりたいと考え、創業に至りました。
――これまでのキャリアについても教えてください。
サイバーエージェントに入社し、エンジニアとしてキャリアをスタートしました。その後、マネジメントを経験する中で、より大きな意思決定や影響力を持つ仕事に挑戦したいという思いが強くなりました。そこで一度、実家の築地の仲卸業に転職し、経営に近い立場で意思決定を経験しました。その後、共同創業者とともに「世の中にインパクトを与える事業をやりたい」という想いが一致し、ABCash Technologiesを立ち上げました。
――経営判断の軸となる価値観は何でしょうか。
すべての意思決定は、「お金の不安に終止符を打つ。」というミッションに近づくかどうかを基準にしています。どのような状況においても、このミッションに沿っているかどうかを最も重要視しています。
「全員リーダー経営」で主体性を引き出す
――組織運営で意識していることを教えてください。
メンバーとの距離を近く保ち、日々コミュニケーションを取りながら状況を把握することを大切にしています。また、プリンシプルの中で「全員リーダー経営」を掲げており、一人ひとりが自分自身をリーダーと捉えて主体的に行動することを求めています。やらされる仕事ではなく、ミッション達成のために自ら考え動く組織づくりを意識しています。
――コミュニケーションで大切にしていることは何でしょうか。
とにかくフラットであることです。役職に関係なく、同じ目線で本音を言い合える関係性を築くことを重視しています。呼び方も「社長」ではなく「辻さん」と呼んでもらうようにしており、上下関係に縛られすぎない環境づくりを意識しています。
――採用や育成において重視しているポイントを教えてください。
「素直でいい人」であることを最も重視しています。スキルや能力も重要ですが、それ以上に一緒に働きたいと思える人かどうかが大切です。素直に学び、努力できる人とともに、同じ方向を向いて取り組んでいきたいと考えています。
金融教育の可能性を広げる挑戦
――今後の展望について教えてください。
現在はマンツーマン型の金融教育サービスを主軸としていますが、ミッションを実現するためには、より多くの人に届ける必要があります。そのため、マンツーマン以外の形でも行動変容を起こせるサービスの開発に取り組んでいきたいと考えています。
――その中での課題と対応についてはいかがでしょうか。
サービスを広げるほど、一人ひとりとの接点は薄くなります。その中でも行動変容を実現できるかが大きな課題です。これまでマンツーマンで培ってきたノウハウをプロダクトに落とし込むことで、人が常に伴走しなくても行動を変えられる仕組みを構築していきたいと考えています。
――業界の今後についてどのように見ていますか。
金融教育への関心は確実に高まっています。投資未経験者が減り、積立投資を始める人も増えています。今後はさらに投資の幅が広がり、個別株や債券など、さまざまな手法を選択する時代になると考えています。そのため、より高度な金融リテラシー、特に投資リテラシーの重要性が増していくでしょう。
ミッションを最上段に置き続ける経営
――影響を受けた人物について教えてください。
田中角栄氏の考え方や行動には大きな影響を受けています。賛否はあるものの、自身の信念を貫き、日本を良くするために行動し続けた姿勢は非常に印象的です。
――経営において譲れない信念は何でしょうか。
どのような状況でもミッションを最上段に置き続けることです。経営には良い時も悪い時もありますが、どんな局面でも「この意思決定がミッションに近づくか」を軸に判断することを徹底しています。
――リフレッシュ方法について教えてください。
基本的には仕事をしていることが多いですが、筋トレや音楽で気分転換をすることもあります。ただ、仕事の課題やストレスは、最終的には仕事でしか解決できないと感じています。しっかり向き合い、課題を解決すること自体が一番のリフレッシュになっています。