受け継いだ技術と想いを形に――電機・電子分野で広がる“ものづくり”の挑戦
有限会社岩手電機製作所 代表 大塚 友暁氏
有限会社岩手電機製作所は、神奈川県川崎市を拠点に、制御盤の製作を中心とした電機・電子分野のものづくりを手がける企業です。設計から製造まで一貫して対応し、顧客の要望に応じた提案型のものづくりを強みとしています。本記事では、代表である大塚氏に事業の特徴や強み、経営の背景、組織づくりの考え方、今後の展望について伺いました。
目次
電機・電子分野で幅広く対応するものづくり企業
――現在の事業内容や特徴について教えてください。
現在は、各種制御盤・操作盤の製作や電子ユニットの組み立て、小型の一体機器、ケーブルハーネスの製作・量産など、電機・電子に関わる幅広い業務に対応しています。基本的にはご相談をいただければ、電機・電子系のことはできる限りお応えするというスタンスです。
先代の頃から継続している取り組みとして、鉄道シミュレーターの製作もあります。運転台を模した装置で、博物館などに納めている遊戯用のものだけでなく、鉄道会社の訓練用として使われるものも手がけてきました。
こうした案件は協力会社と連携しながら進めており、長く続いている事業の一つです。
――社名の由来と、創業の経緯を教えてください。
創業者は祖父と曾祖父にあたり、もともとは岩手の出身でした。最初は現地の倉庫を借りて、コイル巻きの内職から事業を始めたのがルーツです。
現在は神奈川県に拠点がありますが、その出発点に由来して「岩手電機製作所」という社名が使われています。
――他社にはない強みはどのような点にありますか?
これまでは制御盤の組み立てや配線といったハード面が中心でしたが、自分自身が前職でPLCソフト設計に携わっていたこともあり、ハードとソフトの両面で対応できる点が強みだと考えています。
近年は省スペース化や多機能化のニーズが高まっており、装置の中でソフトの役割が大きくなっています。そうした中で、ハードとソフトの両方を踏まえた提案ができることは、お客様の要望に応えるうえで大きな価値になると感じています。
「思いを形にする」理念とネットワークの強み
――会社として大切にしている理念は何ですか?
先代の頃から「思いを形にする」という言葉を掲げています。電機・電子に関することでも、そうでなくても、できるだけ幅広く対応するという姿勢は、この理念に基づいたものです。
お客様からの「こういうものを作りたい」というご相談に対して、単に受けるだけでなく、実現できる形をこちらから提案していくことも大切にしています。
――ご要望に寄り添う際に、大切にしていることを教えてください。
社内だけで完結しない部分については、これまで築いてきた協力企業とのネットワークを活用しています。板金や塗装など、さまざまな分野の企業とつながりがあるため、電機・電子に限らず幅広い相談に対応できる環境があります。
一つひとつの要望に対して、できる限り形にする。そのために人とのつながりを大事にしてきたことが、今の体制につながっていると感じています。
突然の承継から始まった経営者としての歩み
――経営の道に進まれたきっかけを教えてください。
もともと将来的には継ぐつもりはありましたが、実際に経営に入ったのは突然の出来事がきっかけでした。先代である父が急逝し、そのタイミングで会社を引き継ぐことになりました。
当時は別の会社でソフト設計の仕事をしており、準備が整っていたわけではありません。会社も厳しい状況にありましたが、自分がやるしかないという思いで、手探りのまま経営をスタートしました。
――経営の中で大切にしている価値観や信条はありますか?
まだ経営者としての経験が浅いこともあり、理想を大切にしたいという思いがあります。
言い方としては「八方美人」に近いかもしれませんが、お客様や従業員など関わる方それぞれに対して、できる限り不満が残らない形を目指したいと考えています。
実際の仕事では、品質や価格においてお客様の期待に応えようとする一方で、社内の負担が増えてしまう場面もありますし、条件面でどちらかが我慢せざるを得ない状況も少なくありません。そうした現実がある中でも、すぐに割り切るのではなく、理想に少しでも近づけるように努力を重ねていきたいと感じています。
また、人と接する際には相手の意見を尊重し、不快な思いをさせないよう意識しています。自分の手の届く範囲では、できる限りすべての人に寄り添いたいという考えが根底にあります。
社内であれば、それぞれが専門業務に集中できる環境を整えることにつながりますし、お客様に対しては、製品の使い勝手や納品後の不安が残らないよう、丁寧に対応することを心がけています。
現場との距離を埋める組織づくりと人材への想い
――社内コミュニケーションの現状について、どのように感じていますか?
週に一度、全体で情報共有を行う場を設けています。ただ、経営や営業、設計など複数の役割を兼務していることもあり、日常的なコミュニケーションの時間が十分に取れていないと感じることがあります。
特に現場との距離ができている点は課題として認識しており、今後はそこを埋めていきたいと考えています。
――どのような人と一緒に働きたいと考えていますか?
先代の頃から長く支えてくれているベテランの方がいて、現在も応援という形で関わっていただいています。その方たちは、現場と自分をつなぐ役割を担ってくれている存在でもあります。現場作業に精通した方や、設計・品質管理・営業の知見を持つ方など、それぞれが豊富な経験を持っており、会社にとって大きな支えになっています。
そうした方々が培ってきた技術や知識を引き継ぎながら、一緒に会社を動かしていけるような、いわば右腕のような存在は必要だと感じています。
一方で、社内の雰囲気は地域に根ざしたアットホームな環境です。近隣に住んでいる従業員も多く、堅苦しさよりも自然体で関われる関係性があります。そうした環境の中でリラックスして働ける方であれば、既存のメンバーともなじみやすく、気持ちよく仕事ができるのではないかと考えています。
これからの挑戦と、仕事を支えるリフレッシュ
――今後の事業展開や取り組みについて教えてください。
社内では、現場の方が作業に専念できる環境づくりが課題です。判断を任せる場面も多い中で、より効率的に動ける仕組みを整えていきたいと考えています。
一方で、外に向けてはソフト設計の分野をさらに広げていきたいという思いがあります。これまでの取引はハード寄りの依頼が中心でしたが、自分の強みを活かしながら新たな可能性を模索していきたいです。
――お休みの日は、どのようにリフレッシュしていますか?
休みの日は、たまに小中学校からの友人と集まってサバイバルゲームをします。地元の仲間と大勢で体を動かす時間は、良い気分転換になっています。
また、中学生の頃から地域の和太鼓グループに所属していて、稽古やお祭りでの演奏にも参加しています。主婦の方や小中学生など、幅広い世代の方と一緒に活動しているのも特徴です。最近はなかなか参加できていませんが、長く続けている大切な活動のひとつです。
普段はどちらかというとインドアですが、こうした機会には外に出て体を動かすことが多く、リフレッシュにつながっています。