かんなフラワーアートで広がるご縁――Lino Linoが大切にする経営のかたち
株式会社Lino Lino 代表取締役専務 木下 元介氏
株式会社Lino Linoは、ヒバやヒノキなど天然の木をかんなで削り花を形づくる「かんなフラワーアート」を手がける専門店です。接着剤を使わず香りも楽しめる独自の作品を通じて、日本の木工文化や手仕事の美しさを国内外へ発信しています。人と人の想いをつなぐという理念のもと、企業向けギフトや空間演出も展開。今回は、代表取締役専務である木下氏に、事業への想いや共同経営で意識している点などを伺いました。
かんなフラワーアートで広がる独自のビジネスモデル
――現在の事業内容や特徴について教えてください。
会社を設立して3年半ほどになりますが、創業から数えると6年近くになります。上野桜木に店舗を構えてからは3年が経過しました。天然の木をかんなで削って花を形づくる「かんなフラワーアート」という商品を中心に展開しており、商標も取得しています。
事業としては、店舗にいらっしゃるお客様向けのBtoCと、ホテルや企業様へのギフト・客室装飾といったBtoBの両軸で進めています。もともとは道ゆくお客様のギフト用途が中心でしたが、現在は企業向けの比率を高めていく方向で、マーケティングと生産体制の拡充を並行して進めています。
――他社にはない強みはどのような点にありますか?
大きな特徴は、花の部分に接着剤を使っていない点です。一般的には接着剤で形を整える手法が多いのですが、弊社の作品はそれを用いずに仕上げています。
そのため、アロマオイルを垂らしても花が壊れることなく、素材そのものの香りと精油の香りをそのまま楽しんでいただけます。
見た目だけでなく、香りも含めて五感で味わえるアートになっている点が、他にはない価値だと考えています。
日本の魅力と想いを届ける理念
――御社は代表取締役が2名体制という認識でよろしいですか?
弊社は、専務である私と、社長であり作家の川副の2名で共同出資し、代表取締役が2名いる体制で運営しています。それぞれの役割を担いながら、事業を進めている形です。
社名の「Lino Lino」には、人と人をつなぐという意味を込めています。ハワイ語でそうした意味を持つ言葉であり、私たちの事業の本質にも通じています。
単に商品を提供するだけでなく、その先にある想いや気持ちを届け、人と人との間をつなぐ存在でありたいと考えています。
――御社の理念に込められた想いを教えてください。
大きく2つの柱があります。
1つは、日本の魅力を国内外に発信していくことです。素材である木の自然な香りや、「かんな」という日本の木工文化、そして日本人の繊細な手仕事の美意識を通じて、その価値を伝えていきたいと考えています。
もう1つは、想いを届けることです。今の時代、感謝や癒しの気持ちを人から人へ伝えることが難しくなっている中で、枯れない花に「変わらぬ想い」を込めて贈ることで、喜びや驚きを届けたいと考えています。
そうした想いを形にしながら、人と人とのつながりを生み出していくことが、私たちの目指す姿です。
経営者としての原点と価値観
――経営の道に進まれたきっかけを教えてください。
もともとは会社員として数字を扱う仕事をしていました。海外で働く機会もあり、その中で日本の置かれている状況や、他国の人々の姿勢を見て、自戒も込めて日本の魅力を学び伝えたくなり、その思いが積み重なって今に至っています。
――経営判断の軸となる考え方を教えてください。
利益だけを追うだけではなく、関わる人の幸福度を大切にしたいという考え方です。
製作に関わる方の中には、家庭の事情で外に働きに出られない方もいらっしゃいます。その方々が社会とつながり、自分の作ったものが誰かに喜ばれる。そうした機会をつくることにも価値があると考えています。
数字だけで判断するのではなく、人のやりがいや生きがいといった部分にも目を向けながら意思決定をしています。
――これだけは譲れないという思いはありますか?
自戒も込めてですが、やはりコツコツと積み上げていく姿勢は忘れないようにしています。年齢を重ねる中で、見えにくさや物忘れ、ちょっとしたミスも出てきますが、だからこそ毎日を慎重に、地道に積み重ねていくことが大切だと感じています。
戦略的に考えることもありますが、思い描いた通りに進むことばかりではありません。むしろ、偶然出会った方とのご縁から大きな話につながることの方が多いと感じています。だからこそ、謙虚な姿勢を持ち、日々の出会いを大切にしながら行動することを何より重視しています。
特に店頭でお会いするお客様とのつながりは大きく、そうした一つひとつのご縁を大事にしていきたいですね。
人とのつながりを大切にする組織運営
――社内コミュニケーションで意識していることは何ですか?
社員は私と川副の2名ですので、一緒にいる時間がとても長くなります。
考えや意見が異なることもありますが、その際は理由や背景を伝え合い、どこかで譲歩しながら、Lino Linoにとって何が最も良いのかという「会社最適」の視点で話を進めています。
また、運営を支えてくださる内職の方やアシスタントの方々との関係でも、感謝の気持ちを忘れないことを大切にしています。
お金やノルマだけではなく、ご厚意に支えられている部分も大きいからこそ、お願いするばかりではなく、自分たちに何ができるのかを常に考えながら接しています。
一緒に働く方には、会社の考え方や世界観に共感していただきたいです。
手作りの作品には、その人の気持ちや置かれている状況が表れるものだと感じています。だからこそ、ブランドの価値や方向性を理解し、素直に実直に向き合ってくださる方が大切だと考えています。
そうした方々が、Lino Linoの大きな力になっています。
サステナブルな贈答文化への挑戦と今後の展望
――今後取り組んでいきたい挑戦はありますか?
企業間の贈答文化の中で、新しい選択肢を提示していきたいと考えています。従来の胡蝶蘭などといった生花に代わるものとして、サステナブルで長く楽しめる「かんなフラワーアート」を広げていきたいという思いがあります。
また、海外の方にも手に取っていただける機会を増やしていきたいと考えています。特にホテルの客室に設置し、そのまま持ち帰っていただくような形で、日本の文化とともに記憶に残る存在になればと考えています。
――現在向き合っている課題は何でしょうか?
生産体制の拡充です。手作りである以上、品質を保ちながら安定的に供給することが大きな課題になります。素材も自然のものなので、同じ状態で揃えることが難しく、その点も含めて対応していく必要があります。
需要に応えながら品質を維持する、そのバランスをどう取るかが今後も続くテーマだと感じています。
――お休みの日のリフレッシュ方法を教えてください。
近所を散歩することが多いです。目的を決めずに歩きながら、季節の変化や自然に触れる時間が気分転換になっています。
あとはクラシックギターを弾くこともあります。店にも置いてあり、時間があるときに触れることがあります。気持ちを整える時間として、日常の中に取り入れています。