早期療育の空白を埋めるために。地域に必要な支援を形にする挑戦

株式会社THE SHIP 代表取締役 土屋 勇太 氏

2022年10月に法人を設立し、2023年4月から児童発達支援事業をスタート。未就学の子どもを対象とした支援を中心に、学習障害やグレーゾーンの子どもへの個別指導にも取り組んでいる。土屋氏が事業を始めた背景には、特別支援学校の現場で感じた課題意識があった。0歳から6歳の子どもたちに対する支援の場がまだ十分ではない地域で、必要な支援をどう形にしてきたのか。そして、組織づくりや今後の展望をどう描いているのかを聞いた。

0歳から6歳に向き合う、現在の事業のかたち

——現在の会社の事業内容について教えてください。

2022年10月に法人を設立し、2023年4月から児童発達支援事業を始めました。未就学の子どもたち、0歳から6歳の障害のある子どもを中心に支援する施設を立ち上げた形です。今のところは、その児童発達支援が大きなメイン事業になっています。

——児童発達支援以外には、どのような取り組みがありますか。

規模はまだ大きくありませんが、個別指導も行っています。学習障害のある子や、いわゆるグレーゾーンといわれる、障害とは言い切れないけれど通常の授業についていくのが難しい子どもたちを中心に支援しています。形としては塾ですが、支援の意味合いが強い取り組みです。

——事業の強みや特徴はどこにありますか。

自分がもともと特別支援学校の教員だったので、そこで学んだことをプログラムに取り入れている点が大きいと思います。ほかの児童発達支援では、短時間で来てもらって少し学習して帰る形が多い印象です。

ただ、うちは朝から夕方まで過ごしてもらい、その中で子どもの全体像を見ています。そのうえで必要な支援を分析し、実際の支援に落とし込んでいます。さらに、集団活動も個別活動も両方しっかり取り入れているところが、ほかとの違いだと感じています。

現場で見えた課題が、経営の原点になった

——この事業を始めたきっかけを教えてください。

もともとは、ずっと現場にいるつもりではなく、大学に戻って博士課程に進み、大学で講師や教授になる道も考えていました。ただ、実際に現場で働いてみると、子どもたちと直接関わることのほうが自分には楽しいと感じ、この事業を始めることにしました。

——起業を決断した背景には、どのような問題意識があったのでしょうか。

山梨の現状を見ていると、全国的にもそうですが、未就学の子どもに対する早期療育がまだ弱いと感じていました。支援をしっかり受けられていない子どもが多い印象があったのです。

特別支援学校は基本的に小中高が対象で、0歳から6歳の子どもたちを支援する場がほとんどありません。それなら、自分が支援をしていこうと思いました。

早期に療育を受けてから学校に上がるのと、受けずに上がるのとでは、できることやその子の可能性にも差が出てくると感じています。

——経営者として大事にしていることは何ですか。

何の事業をするのか、そしてどんな理念でやるのかということです。そこがやはりすごく大事だと思っています。職員がついてきてくれるのも、理念をしっかり出して、それを伝えているからこそだと感じています。自分自身の経験からも、そこを一貫してやっていくことが大切だと強く思っています。

支援の質を守るために、組織づくりと向き合う

——経営面で印象的だったことはありますか。

資金面はかなり緊張感がありました。国の事業なので、4月の実績分が6月に入るという流れで、4月と5月は収入がない状態でした。初期の稼働率は40%ほどで、想定内ではありましたが、出ていくものは多いのでかなり不安でした。

ただ、5月には稼働率が80〜90%くらいになり、7月には100%までいきました。その後すぐ黒字になったので、最初の数か月をどう乗り切るかが非常に大きかったです。

——現在の組織運営における課題は何ですか。

いちばん大きいのは、職員の支援の専門性をどう担保していくかということです。新しい先生が入ってくる中で、自分は専門性をかなり重視しているので、その質をどう守り、高いレベルで維持していくかが課題です。まとめると、人材育成が大きなテーマだと思っています。

理念に共感する人が集まり、信頼が少しずつ広がっていく

——採用はどのように進めてきたのでしょうか。

ホームページを使った方法と、求人関連の会社から紹介を受ける方法がありましたが、比較的多いのはホームページから直接連絡をくださる方です。今まで採用した方の半分くらいは、ポータルやホームページを見て直接来てくれた方でした。

専門的にやっていきたい、丁寧に子どもを見ていきたい、ここなら勉強できるかもしれない、そう思って連絡してくださる方が多い印象です。

——利用者や保護者との関係で感じていることはありますか。

うちとしては、子どもをみんなで育てていきましょうという気持ちでやっています。ただ、保護者の方との思いがすれ違うと、うまくいかなくなることもあります。

障害が大変だから、とにかく預かってくれればいいという考えのご家庭も実際にはあります。そうすると、うちの考え方ややり方と合わず、結果として離れていかれることもありました。

——利用者とのつながりは、どのように築いてきましたか。

相談支援事業を自分たちで持っていなかったので、最初はInstagramやホームページ、チラシ配布、相談支援事業所への連絡、市役所への案内などをかなり地道にやってきました。空きが出たらすぐ連絡することも徹底していました。

今は3年間の積み重ねもあって、相談支援の方や市役所、病院のリハビリの先生などから紹介してもらえることが増えています。信頼を積み重ねてきた結果だと感じています。

支援の場を広げながら、療育教材という新たな挑戦へ

——今後、力を入れていきたいことを教えてください。

今後の展望としては、療育教材の開発に力を入れていきたいと思っています。障害のある子どもたちは、物を操作しながら学ぶことや、質感や重みを感じながら理解していくことがとても大切です。そうした学びを支える教材を作り、販売までしていけたらと考えています。

——どのような教材を想定していますか。

紙で印刷して簡単に使えるものは多いのですが、木でしっかり作り込んだ教材はあまり多くありません。たとえば、玉を棒に差して数の量を理解する教材や、50音のタイルを使って単語を作る教材、簡単な木製パズルなどを考えています。最初は自分で試行錯誤しながら作り、販売段階では製造を外注していく想定です。

——3年後の会社の姿をどう描いていますか。

会社としては、もう少し規模を拡大していたいと思っています。児童発達支援や放課後等デイサービスも、慎重にではありますが増やしていきたいです。まずは3つ、4つと展開していけたらと考えています。

山梨は人口が少ないので、県外で需要の高い場所があれば、そこも視野に入れています。あわせて、療育教材のような別の事業でも収益をつくっていきたいです。

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