車を“手段”から“ロマン”へ──カーカルチャーの未来を切り拓く挑戦

株式会社tokyo basic car club 代表取締役 南部翔也 氏

車を「移動手段」として捉える価値観が広がる中、その常識に一石を投じる存在が株式会社tokyo basic car clubです。個人売買を軸にした新たな流通モデルと、デジタルの力を掛け合わせることで、これまでにない車との出会いを創出しています。本記事では、事業の特徴や立ち上げの背景、組織づくり、そして今後の展望について南部翔也氏に伺いました。

業界構造を塗り替える──個人売買×デジタルで生まれた新しい中古車流通

――現在の事業内容について教えてください。

当社は、中古車の個人売買をメインにしている会社です。一般的な販売店や買取店とは違って、売りたい方と買いたい方をマッチングさせるCtoCのモデルになります。

また、車に特化した広告代理店のような側面もあり、自動車メーカーのSNS運用やイベント企画、ブランディング支援も行っています。

単に売買を成立させるだけでなく、どう見せればその車の魅力が伝わるのかまで設計している感覚です。流通と情報発信の両方に関わることで、車の価値そのものを再定義している意識があります。

――御社の強みはどこにあるとお考えですか。

独自性は大きいと思っています。ヤングタイマー車と呼ばれる領域は、もともと価値が十分に認識されていませんでしたが、メディアやYouTubeを通じて魅力を伝え、ユーザーに気づいてもらうところから市場を作ってきました。

誰も見向きしなかったものが、ある瞬間から欲しいものに変わる。その転換点を作れることに面白さを感じていますし、そこに自分たちの存在意義があると感じています。

――他社との違いについても教えてください。

中古車業界では、車種から探して最後に店舗にたどり着くのが一般的ですが、当社の場合は「ここで買いたい」と指名されるケースが多いです。いわばセレクトショップのような立ち位置で、会社自体に価値を感じてもらえているのは強みだと捉えています。

この“場”として選ばれる状態は一朝一夕で作れるものではなく、発信や接点を積み重ねてきた結果だと思っています。商品ではなく体験として選ばれている感覚があります。

「好き」と「違和感」から始まった挑戦──デジタルで車業界に切り込んだ原点

――起業されたきっかけを教えてください。

もともとは広告代理店で働いていて、デジタルマーケティングに携わっていました。コロナ禍をきっかけに、SNSやメディアの力で企業の可能性が大きく変わる現場を目の当たりにしたんです。その中で、自分が好きだった車業界を見ると、デジタル化の波に乗りきれていない部分があると感じました。変わる余地があるのに変わっていない。そのギャップに違和感を覚えたのが始まりです。

デジタルの力と車という好きな領域を掛け合わせれば、業界をもっと良くできるのではないかと考えました。得意なことと好きなことが重なったときに、自分でやる意味があると感じたんです。その感覚が、起業という選択を後押ししました。

――事業を通じて感じている手応えはありますか。

車を売ること自体も嬉しいですが、それ以上に「車が好きな人を増やせた」という実感があるときにやりがいを感じます。

これまで車に興味がなかった人が、一台の出会いをきっかけに価値観を変えていく。その変化に立ち会えることが、この仕事の面白さだと思っています。単なるモノの売買ではなく、人の人生に少し色を足すような感覚があります。

自主性が価値を生む組織へ──多様なプロが交わるチームづくりの本質

――組織運営で大切にしていることを教えてください。

社員と業務委託の区別にこだわらず、それぞれの専門性を活かす形で組織を作っています。広告やマーケティングのプロ、クリエイター、自動車の専門家など、多様な人材が関わっていて、全体で25名ほどの体制です。バックグラウンドが違うからこそ、同じ方向を向いたときの推進力が強くなると感じています。

コミュニケーションにおいては、自主性を何より重視しています。トップダウンで指示を出すというよりも、それぞれが考え、発言しながら進んでいく形です。意見がぶつかることもありますが、その衝突が新しいアイデアにつながることも多いです。自分一人で引っ張るというより、全員の力を引き出すことに価値を感じています。

――どのような人と働きたいと考えていますか。

企みを持っている人ですね。「こうしたい」「こう変えたい」といった意思を持っている人と働きたいです。今いるメンバーも全員が発信する側で、受け身の人はいません。それぞれの考えがぶつかり合うことで、結果的に組織として前に進めている実感があります。会社に合わせるのではなく、会社を使って何かを実現したいと思える人と一緒にいたいです。

“桁を変える”成長へ──全国展開と業界変革に挑む次の一手

――今後の展望について教えてください。

これまで順調に成長してきましたが、さらに規模を一段引き上げるフェーズに入っています。今のビジネスモデルは売り手と買い手双方にメリットがあると感じているので、より多くの人に使ってもらうためには会社自体が大きくなる必要があります。理想を実現するためには、影響力を持つことが欠かせないと感じています。

現在は1店舗で運営していますが、他の都市にも展開していきたいと考えています。車は物理的な商材である以上、エリアの制約は避けられません。ただ、その制約を超える形で拠点を広げていくことで、より多くの人の「売りたい」「買いたい」に応えられるようになります。全国規模で価値を届ける体制を作っていきたいです。

――現在感じている課題や、それに対する取り組みについて教えてください。

課題としては人材育成と業務効率化があります。これまで少人数で回してきた分、育成に十分向き合えなかった時期もありました。今はそこに本気で取り組んでいます。

また、アナログな業務が多い業界だからこそ、デジタルやAIを活用して無駄を削ぎ、人が本来やるべき仕事に集中できる環境を作っていきたいと考えています。その積み重ねが次の成長につながると感じています。

ロマンを広げる原動力──仕事と地続きの楽しみ方とこれから

――趣味やリフレッシュ方法について教えてください。

お酒と車ですね。スタッフや友人と飲みに行く時間も大切にしていますし、休日は車で遊ぶことも多いです。

仕事と切り離すというより、好きなことの延長に仕事があるような感覚です。楽しんでいる時間の中から、新しいアイデアや気づきが生まれることも少なくありません。何気ない会話から次の企画のヒントが見つかることもありますし、車に触れている時間がそのまま事業の解像度を上げてくれる感覚もあります。
無理に切り替えず、自然と循環している状態が自分には合っています。

――最後に、読者へのメッセージをお願いします。

業界構造に対してアプローチしていくことが大事だと考えています。個々の取り組みはすべてそのための手段であり、最終的には車との向き合い方そのものを変えていきたいです。

車を「手段」ではなく「ロマン」として捉える人が増えていけば、業界の景色もきっと変わるはずです。合理性だけでは語れない価値や楽しさを、もう一度取り戻していきたいという思いもあります。その変化を起こす一端を担えるよう、これからも挑戦を続けていきたいと考えています。

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