“人”を軸にセキュリティを支える――現場経験から築く実践型コンサルティング
株式会社セキュリティパートナー 代表 浅野 環氏
株式会社セキュリティパートナーは、情報セキュリティや個人情報保護法、BCP対策などのコンサルティング・研修を手がける企業です。現場でのシステム管理やセキュリティ導入経験を活かし、企業ごとの実情に寄り添った支援を続けています。近年は福岡を拠点に九州エリアへ展開を広げながら、AIセキュリティやサプライチェーン対策にも注力しています。本記事では、代表の浅野氏に経営に関するさまざまなお話を伺いました。
目次
現場経験を活かした“実践型”のセキュリティ支援
――現在の事業内容や特徴を教えてください。
当社では、情報セキュリティや個人情報保護法、BCPに関するコンサルティングと研修を行っています。
最近は、経済産業省が始める『サプライチェーンセキュリティ評価制度』に関連した支援にも力を入れており、「委託先として適切なセキュリティ体制を整えられているか」をサポートする取り組みを進めています。加えて、AIに関するセキュリティコンサルティングも始めました。
もともとは愛知・岐阜・三重を中心に活動していましたが、昨年から福岡に、今年5月から熊本にシェアオフィスを構え、九州エリアでの展開も進めています。福岡と熊本を拠点に、セキュリティ支援をさらに広げていきたいと考えています。
――他社にはない御社ならではの強みはどのような点にありますか?
独立前に4社で経験を積んできたことが大きいと思います。プログラミングやマーケティング支援、サーバー管理者、そしてセキュリティSEなど、現場で実際に手を動かしてきました。
その経験があるからこそ、「現場ではこういう運用になりますよね」という目線でお客様に寄り添った提案ができます。ISMS認証やPマーク取得支援では、企業ごとの状況に合わせた現実的な運用を重視してきました。
2003年の設立以来、Pマークは153社ほど、ISO27000関連は53社ほど支援してきています。認証取得はゴールではなく、その後の運用が大切です。継続的なお付き合いが多いのも、現場感覚を踏まえた支援を心がけてきた結果だと感じています。
――御社の理念に込められている想いを教えてください。
『どんなに技術が進歩しても、人を通して、情報セキュリティを高める』という理念を掲げています。
私はサーバー管理やシステム運用を経験してきましたが、結局最後は“人”なんです。どれだけ優れたシステムでも、使う人や環境が変われば対応できなくなることがあります。
だからこそ、人の成長に合わせてセキュリティも高めていく必要がある。その考え方を理念として大切にしています。
技術を武器に独立へ――創業までの歩み
――経営の道に進まれたきっかけや創業の経緯を教えてください。
3社目のハードディスクメーカーで大規模なリストラがあり、「これからは自分の技術で生きていかないといけない」と感じたのが転機でした。その後、以前のつながりから4社目のセキュリティ会社に入社し、SEとして経験を積みました。
その会社では、愛知県内で情報セキュリティの講師が少なく、自分が担当することになったんです。現場経験や製品導入の知識もあったので、「だったら自分でやってみよう」と思ったのが独立のきっかけでした。
――経営判断を行う上で軸になっている考え方はありますか?
やはり、お客様にとって価値があるかどうかを一番に考えています。お客様にメリットがなければ、継続して選んでいただくことはできません。
また、当社の場合は代理店やパートナー企業を通じてお仕事をいただくケースも多いので、エンドユーザーだけでなく、間に入ってくださる会社にも利益が出る形を意識しています。関わる方全員に無理がない形を考えながら判断していますね。
信頼関係を築くためのコミュニケーションと人材観
――仕事上のコミュニケーション面で意識していることを教えてください。
基本的には長年一人でやってきましたので、社内コミュニケーションというより、お客様やパートナー企業とのやり取りが中心です。
仕事では、情報共有を特に大事にしています。「聞いていなかった」という状況を作らないよう、メールやチャットツールを活用しながら、なるべく細かく共有しています。これはルールというより、お互いのマナーだと思っています。
また、悪いニュースほど早めに伝えることも意識しています。
――今後、後継者や右腕となる方を育成するとしたら、どのような方と一緒に働きたいですか?
真面目で優しい人ですね。スキルは後からでも身につきますが、誠実さや人柄は簡単には変わらないと思っています。
特に、お客様の立場で物事を考えられる方と一緒に仕事をしたいです。これまでにも一緒にやっていこうとした方はいましたが、お客様への接し方が難しいケースもありました。普段の姿とお客様の前での態度が違うこともありますから、人柄の大切さをより強く感じています。
今後もし誰かに引き継ぐとしたら、雇用という形よりも、パートナーや委託のような関係で進めていくことになると思います。
――経営の中で「これだけは譲れない」と感じていることは何でしょうか?
やはり、お客様を大切にすることです。私たちはお客様に必要としていただくことで仕事が成り立っています。
そのため、お客様にご不便やご迷惑がなるべくかからないよう、一人ひとりの状況を考えながら対応することを常に意識しています。
九州進出と人材育成――次の10年に向けた挑戦
――今後取り組んでいきたい挑戦や展望について教えてください。
福岡にシェアオフィスを構えた際、2つの目標を立てました。
1つは「5年間で100社のお客様を獲得すること」、もう1つは「10年間で九州7県に100人のセキュリティ人材を育成すること」です。
私は今60歳ですが、これからの10年で地域に人材を残していきたいという想いがあります。その目標に向けて、今動いているところです。
――現在直面している課題や注力している取り組みはありますか?
現在は販路開拓を進めています。福岡の展示会に出展した際、現地の審査機関と連携のお話をいただき、一緒に拡販を進めていく流れができてきました。
特にサプライチェーンセキュリティ評価制度はISOとも関係が深いため、認証支援や審査機関との連携を通じて広げていきたいと考えています。
――福岡や熊本への展開について、どのような可能性を感じていますか?
福岡では再開発が進んでいて、新しく進出する企業も増えていくと感じています。そうした企業向けのセキュリティ需要も今後高まるのではないでしょうか。
また、熊本では半導体関連の動きが活発になっています。半導体業界ではセキュリティ要求も厳しくなっているため、その分野でも支援できることがあると考えています。今年5月から熊本にシェアオフィスを借りました。
ワーケーションで広がる視点
――休日のリフレッシュ方法について教えてください。
旅行が趣味なので、出張と組み合わせてワーケーションのような形で楽しむことが多いです。金曜日に仕事をして、そのまま土日に現地を回ることもあります。
また、最近は福岡進出1周年のお祝い画像をAIに作ってもらいました。楽しみながら触れているので、それもリフレッシュになっています。