着たいものを「似合う」に変え、人生の足跡を映す「生き様スーツ」

株式会社rmr 代表取締役 沼部 明子氏

株式会社rmrは、オーダースーツの製造・販売を中心に、ファッションコンサルティングや買い物同行・代行を手がけています。パターンオーダーやイージーオーダーだけでなく、フルオーダーにも対応。ビジネススーツから舞台衣装、司会者向けのデザイン性のあるスーツやワンピースまで、着る人の希望に寄り添った1着を提案しています。

着たいものを「似合う」に変える、自由な提案

――現在の事業内容について教えてください。

当社の基本事業は、オーダースーツの製造・販売です。私はアパレル業界で販売を経験してきたため、サイズを合わせるだけではなく、ファッション性を活かした提案を大切にしています。

お客様が求めているものや、その方に似合うものを丁寧に伺いながら、1着を形にしていきます。フルオーダーまで対応できる縫製工場と連携しているため、ビジネス用のスーツはもちろん、舞台衣装や司会者向けのデザイン性のあるスーツ、ワンピースなども提案できます。

――事業を通じて大切にしている理念を教えてください。

私はパーソナルカラー診断や骨格診断の資格を持っていますが、仕事では使わないと公言しています。診断を受けることで、その結果に自分を当てはめ、着たい服や色を諦めてしまう方が少なくないと感じているからです。

私の仕事は、着たいものや着たい色を制限することではありません。それらを、その方にどう似合わせるかを考えることです。「こんな服が着たかった」「本当に自分に似合うんだ」と喜んでいただける提案を目指しています。

スーツは、年齢や経験を重ねるにつれて似合うものも変わります。その方が歩んできた人生や足跡まで残せるような1着をつくりたい。そうした思いを込めて、「生き様スーツ」という言葉を掲げています。

好きだったファッションを仕事にし、経営の道へ

――経営者を目指したきっかけを教えてください。

父が経営者だったこともあり、サラリーマンになるというより、いつか自分も経営をしたいという漠然とした思いを持って育ちました。

最初は時計の輸入企業である平和堂貿易に入り、ピアジェの営業部で勤務しました。その後、結婚を機に退職し、3人の子どもたちの手がある程度離れた頃、ずっと好きだったファッションの仕事に入りたいと考えました。

そこで、レリアンが運営するセレクトショップの販売員となり、約10年間、接客と販売を経験しました。そのなかで独立したいという思いが強くなり、最初はファッションコンサルティングの事業で起業しました。

――オーダースーツ事業を始めた経緯を教えてください。

起業当初から参加していたビジネス商談会「守成クラブ」で、オーダースーツを扱う方と出会ったことがきっかけです。ファッションの視点からお客様にスーツを提案してほしいと声をかけていただき、販売をお手伝いするようになりました。

仕事を通じてオーダースーツの奥深さと魅力を知り、自分でも取り組みたいと思うようになりました。現在は、モード学園で講師を務める方が中国に持つ縫製工場と連携しています。

ファッションとスーツの両方に深い知識を持つ方へ、細かな点まで直接相談できる環境です。自由度の高い提案ができる恵まれた体制でスタートできたことが、現在の事業につながっています。

――経営において大切にしている考え方はありますか。

私は、自分たちだけが利益を得ればよいとは考えていません。縫製工場や事務を担う方など、表に見えないところで支えてくださる方が働き続けられる環境を、経営者が仕事を生み出すことで整える必要があると思っています。

特に、中国の縫製工場で一生懸命スーツをつくってくださる方々へ、仕事と報酬がきちんと回るようにしたいです。その考えを持つようになってから、仕事の醍醐味や楽しさをより強く感じるようになりました。

同時に、私のスーツを着る方にも、自信と笑顔を持って毎日に向き合っていただきたいと考えています。自分が納得できるものをきちんと提案したいので、価格だけを理由に安売りするのではなく、品質やこだわりを大切にしています。

意見を受け止め、一方通行にしない組織づくり

――現在は、どのような体制で事業を運営していますか。

当社では、外部への業務委託を中心に事業を運営しています。事務を担当する方や提携先で業務を支えてくださる方など、5、6人にお手伝いいただいています。

コミュニケーションにおいて大切にしているのは、良い意見か悪い意見かを先に決めつけず、まずはきちんと聞くことです。私からの一方通行にならないように心がけ、相手の考えを受け止めた上で判断するようにしています。

将来、誰かに仕事を任せたり、後継者となる方を育てたりするのであれば、スーツやファッションが好きであることは前提です。その上で、考え方の違いがあっても、私自身や私の理念を理解し、応援してくださる方と一緒に進んでいきたいです。

好奇心を持ち、限られた時間のなかで気持ちを切り替える

――仕事を離れた時間は、どのように気分転換していますか。

旅行が好きで、いろいろなことに興味を持つタイプです。中型自動二輪の免許も持っているため、本当はバイクでツーリングの旅に出たいと思っていた時もあります。

ただ、現在はなかなか時間が取れず、実際には旅行やツーリングへ行けていません。普段できている気分転換は、YouTubeやTikTokの情報収集やNetflixなどでファッション性の高い映画を見ることです。時間や状況が許せば、旅行もしたいと思っています。

一年中スーツを楽しめる提案と、笑顔を生むファッションショーへ

――現在、事業で向き合っている課題を教えてください。

大きな課題は、猛暑によるスーツ離れです。暑い時期に無理をして着るべきだとは思いませんし、クールビズが広がる理由も理解しています。それでも、スーツを着ると気持ちが引き締まり、仕事に向き合う姿勢が変わることがあると感じています。

そこで、機能性の高い生地を使いながら、カジュアルになり過ぎず、かっこよく着られるスーツをどうつくるかを考えています。「夏でもかっこよくスーツを着る」という選択肢を提案し、1年を通してスーツを着る魅力を感じていただきたいです。

――今後、挑戦したいことを教えてください。

最終的な目標は、スーツを中心としたファッションショーを開催することです。自分のスーツのコレクションを見せるだけでなく、小児病棟の子どもたちや老人ホームの方々、そのご家族やスタッフの方々も参加できる場にしたいと考えています。

例えば、病気のお子さんを抱えながら毎日スーツで働くお父さんと、そのご家族が一緒に笑顔になれる機会をつくりたいです。子どもたちには元気になれるような服を提案し、一緒にショーへ出ていただくことも考えています。

また、普段はポロシャツで介護に関わる老人ホームのスタッフの方がスーツを着て、入居者の方から「かっこいいね」と声をかけてもらえるような場にもしたいです。参加する方々がファッションを通じて笑顔になれるショーの実現に向け、これからも1歩ずつ取り組んでいきます。

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